『ローマ字の休日』

05/22/99


  えば、ワープロ機能を使う時。「ら行」の文字をローマ字で入力する時「L」でいくか「R」でいくか。いわゆる「ブラインド・タッチ」で打つ(僕は出来ませんが)時にルールがあるのかどうかは知りませんが。
  と例えば「oh」をカタカナで書く場合「オー」とするのか「オウ」とするのか(あるいは「オオ」)。「happy」は「ハッピー」とするのか「ハッピィ」とするのか(あるいは「ハッピイ」、「ハピー」もしくは「ハピィ」)。「day」は「デー」とするのか「デイ」とするのか。
  だまだある。例えばみんなの大好きな「pizzicato five」。「five」はやはり「ヴ」とするべきか、それとも「ブ」でいいのか。「pizzicato」は「ピチカート」でいいのか。「ピツィカート」とした方がより良いのではないか?
  い出した。「records」と複数形になった場合は「ズ」にするのか、それとも(中村とうよう先生のように)「ヅ」とすべきなのか。
  に。「when」や「where」を「ホエン」や「ホエア」(あるいは「ホエァ」か?)とするならば、「クラブ・トロピカーナ」なんかをヒットさせたのは「ホワム!」という人たちでしょう?
  コード屋での「タグ書き」。僕が現在お世話になっているレコード屋では全ての輸入盤と中古盤(日本盤でも販売価格が表示されていないものも含めて)にタグをつけることになっている。しかも可能なかぎり日本語で。毎日そんな作業をしていると先に書いたようなことをいろいろと考えてしまうわけです。
  えば、『〜should've known〜』というようなタイトルのアルバムがあって、特別な邦題(つまり「恋はあせらず」とか、そういうヤツ)がなかったとしような。この時タグには『〜シュドゥヴ・ノウン〜』(もしくは『〜シュドゥブ・ノウン〜』)と書かざるを得ないわけです。なんだかタイトルがスキャットみたいでしょ? まぁ、これはマシなほう。じゃあ、ロイ・オービソンのヒット曲「You got it」は「ユー・ガット・イット」かい?!。どんくさいっすよねー。
  フト・ロック・ファンの貴方に。「Sit down I think I love you」という曲に関して我々は「シット・ダウン〜」と書くしかないのが現状だ。本当にS××T!。これは例えば中古で買い取った筋肉少女帯や米米クラブのCDにタグを付ける際、アーティスト名のところにそれぞれ「筋肉少女帯」とか「米米クラブ」などと書かくよりも屈辱的な行為なのだ。僕にとっては。
  題に従う、というのも一つの手段だが中には「?」と思うものもある。ラテン・プレイボーイズの新作『Dose』。邦題は『ドウス』となっている(『ドース』でないところに注目)くせに何故ミッチェル・フルームのは『ドウパミン』としないの? 今日書いてきたばかりのものにSylvie Vartanの日本盤ベストがあった。CDの背を見てみるとなんと「シルヴィ・ルタン」となっているではないか! 挙げ足はいくらでも取れる。ビーチ・ボーイズのクリスマス・アルバムにボーナス・トラックとして入っている「ローズ・プレイヤー」(「Lord's Prayer」)は(少なくとも)「ローズ・プレア」とすべきじゃないのか? 山下達郎の「ボンバー」(「Bomber」)は(やっぱり)「ボマー」ですよね?!
  記が違うと発音が違ってくる。そうすると意味も違ってくる。そういうところで生活している人たちの「価値判断の基準」を具象化したものをここ日本で受け止めるには、そのザルの目は粗すぎる。こぼれ落ちるものが多すぎるのだ。そして僕らはそれに気付かないでいる。「ヴ」と書いてるくせに実際「ヴ」と発音する人が何人いるだろうか? 「ヴ」と発音されたのを聞いて「お前の言っとることは意味が判らん」と思う人が何人いるだろうか? もちろんそんなことに敏感にならなくても問題ない、はず。一部の、ある状況にある人たちを除いては。
  れは外国語の歌を歌うプロの歌手の人たち。先日テレビで「日本のソウルの女王」とかいう人が「プラウド・メアリー」を歌っているのを見て、聞いた。ちゃんちゃら可笑しかった。彼女には例えば「all right」なんていう言葉を歌う能力がない。「r」の発音はもちろんだが「オーライ」ではいけない。聞こえるか聞こえないかの最後の「t」をしっかり発音してはじめてその部分が完結するのだ。そういうところをうやむやに、ごまかして歌ってどうするのだ? なによりも歌っている本人の「ま、いっか。」って感じが見え見えなのがムカつくのだ。それともひどく自虐的なパロディのつもりか? スタジオの中には成仏しきれないで行き場を失った「言霊」で溢れているに違いない。その点、「FIRE! FIRE!」を歌ったフォルダの大地君は素晴らしかった。少なくとも「GO!」と叫ぶところが。「ゴー!」ではなく「ゴウ!」(もっと言うと「ガウ!」に近い)。そこが魂の行き着くところ。「ソウルの女王」はとっとと見習うように。
  題は「日本のソウルの女王」だけではない。今バカ売れ中のリッキー・マーティンの「Livin' la vida loca」。まともに聞いてないからよくわからないのだけど彼は「vida 」を「ヴィダ」のように発音しているのだろうか? スペイン語にはいわゆる「ヴ」の発音はないのでタグを書くとすれば「リヴィン・ラ・ビダ・ロカ」か? 答えはトワンギィーなギターのグリッサンドの先にあるのか(笑)? そもそも僕自身今後どのような表記をしていくべきなのか?
  にかく明日も山のようなCDが僕にタグを書かれるのを待っているわけで。それにしても最近買い取りが多いのは何故だ?

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