発進

 AT車の発進は「クリープ現象」を利用する。これは常識ですね。

 「クリープ現象」は、AT車でアクセルを踏まなくてもブレーキを開放するとゆっくり動き出す現象のことです。

 でも、ミラーバーンや、踏み固められ磨かれた圧雪のわずかな凹凸では928の太いトルクが「災い」することがあります。

 そのままブレーキから足を離すと、いきなり空転をはじめます。ブレーキからゆっくり慎重に足を離すようにしましょう。フットブレーキのデリケートな操作が苦手なうちは、ハンドブレーキを上手に使った方が得策です。

 ところが、上り坂や凹凸路面では「クリープ現象」が起きないことが多いのです。
 当然アクセルを踏むことになりますが、これが問題です。

 アクセルペダルの重い928は、慎重にゆっくり踏めば、以外にコントロールしやすいのですが、動き出した後の加速は「ひたすらガマン」し、タイヤのグリップ感覚を確認しながら少しずつ。さもないと空転や横向き、グラマーな928の「尻フリダンス」を披露する事になります。

 なお、90年式以降の928はPSD(ポルシェ社の総合的LSDシステム)が標準装備されているため、駆動輪の片滑りは自動的に抑えられますが、これより前の年式の928は雪上で片側が激しく空転して進まないことが頻発すると思われます。こうなると発進だけでなく、走行時の制御も難しいことになります。
 したがって、あくまで個人的な見解ですが、89年式以前の928で積雪・凍結路を走るのはあきらめたほうが無難であると思います。

MT車の場合(おまけ)

 残念ながら928のMTは乗ったことがありません。
 以前持っていたFRランサーターボとFRキャラバン、現在所有の928S4(左ハンドルAT)の経験をもとに書いてみました。(バス等も運転しますが・・・。)

 MT車の場合は、もっと難しいことになります。
 AT車とは違い、低回転でうかつにアクセルを操作すると簡単にエンストを起こすからです。
 トルクの太い928は低回転でもMTによりダイレクトにタイヤに力を伝えますので、日本車のFR・MTよりはるかに操縦は難しいと思います。

 一般的なことになりますが、いつもより1段高めのギヤで、クラッチを慎重にゆっくりつなぎながらアクセルをコントロールしましょう。

 なお、トルクの太い車は、クラッチが半クラッチになった瞬間に予想した以上の力がタイヤに伝わってしまうことがあります。エンジン音を良く聞いて、アクセルとクラッチの両方をうまく操作してください。また、半クラッチ状態からしっかり繋がった状態に移行すると、一時的に半クラッチで伝わっていた力が急減し、エンストすることがあります。これも音を良く聞いて変化に合わせてアクセルを踏みます。

 平地以外では、ハンドブレーキと平行して操作しましょう。
 さもないと、あなたの928はタイヤに力が伝わる前に(半クラッチ直前がアブナイ)上り坂だと、後ろの車に、下り坂だと前の車にキスをしたがる、節操のない928になります。